2016年8月31日に電波法が改正されました。この改正により、ドローンの活用の幅が更に拡がることになります。ここでは、その改正された内容を中心に、電波法とドローンの関係について解説していきます。
まずは現在、ロボットに使用されている主な無線システムをチェックしてみましょう。
【図1】
(総務省資料より)
73MHz帯は、農薬散布などに使われる無人ヘリの操縦などに使用しています。
1.2GHz帯はドローンレースで使われているFPVなどで使用されています。
2.4GHz帯は無線LANで使用していることから、一番馴染みが深いと思いますが、無線局免許を要せずとも使用できるため、DJIを始め3DRなど一般に購入しやすいドローンの操縦、画像転送に使われています。周波数ホッピング方式(FH方式)を採用するなど混信を回避した安定通信の向上が図られています。
5GHz帯は2.4GHz同様、無線LANやアマチュア無線、ETCなどに使われています。
※無線局免許、技適マークについては次回詳しく説明します。
そして、特にドローンにおける電波利用の状況【図2】と、海外の電波利用状況の図【図3】を見ていきましょう。
【図2】
(総務省資料より)
【図3】
(総務省資料より)
空撮、空撮測量といった分野でドローンの産業利用が始まり、画像、映像転送のニーズが高まってきました。
そして、昨年に発表された政府の日本再興戦略の中の、ロボット新戦略内で、多様化するロボットの電波利用ニーズに応えるため、電波利用高度化が検討され、以下のような要求条件がまとまりました。
【図4】
- 大容量通信を可能とすること。
- 複数台運用を行うために、通信チャネルを増やすこと。
- 万が一のために、バックアップ回線を用意すること。
- コスト抑制のため、汎用的な周波数帯であること。
これらの要求条件をもとに、以下の周波数帯が検討されました。
【図5】
(総務省資料より)
2400MHz~2483.5MHzが世界共通の無線LAN帯域で、ドローンにおいてもよく使用されています。2483.5MHz~2497MHzは日本独自システムの限定的な使用である為、この周波数帯を共用することとなりました。
【図6】
(総務省資料より)
5.7GHz帯は、無線LANの周波数拡張も検討中ですが、既存無線システムと共用して、5650MHz~5755MHzまでを使用することになりました。
【図7】
169MHz帯は、バックアップ用回線として最大300kHz程度のチャンネル幅の通信を行うことにより、低画質、白黒画像ながらも画像転送が可能です。
そして、2016年8月31日に、電波法の改正が以下のように行われました。
大きな特徴としては、「無人移動体画像伝送システム」が電波法の無線設備規則に加えられたことです。以下、その条文です。
「無人移動体画像伝送システム」とは、169.05MHzを超え169.3975MHz以下、169.8075MHzを超え170以下、2,483.5MHzを超え2,494MHz以下又は5,650MHzを超え5,755MHz以下の周波数の電波を使用する自動的に若しくは遠隔操作により動作する移動体に開設された陸上移動局又は携帯局が主として画像伝送を行うための無線通信(当該移動体の制御を行うものを含む。)を行うシステムをいう。
次回は、無人移動体画像転送システムの運用について説明したいと思います。
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