講座体験レポート

レース用ドローン製作講座体験レポート【1日目実機の組み立て@東京】

レース用ドローン製作講座 体験レポート

レース用ドローン製作講座は、ドローンの機構を学び、組み立てとプログラムの調整、そしてフライトまでを2日間で行う講座。ドローンレースにおける日本トップレベルのパイロットを講師陣に迎え、体験に基づいた実践的な知識とノウハウを直接教わることができます。今回は、講座の内容やレベルが実際にどのようなものか、受講者の目線で知っていただくために、ドローンに詳しいライターによる体験レポートをお届けします。

ライター・加藤学宏/講師・酒井淳一郎、高橋亨

3ヶ月分の知識を2日間で!?幅広い年齢層の参加者

1日目は、本講座を運営するトライアロー株式会社の本社(JR田町駅から徒歩5分)にてドローンの基礎知識を学び、組み立てを行います。まず、2日間の講座の概要について、講師を務めるJapanDroneLeague代表理事・酒井氏から説明がありました。

JapanDroneLeagueとは?

Japan Drone League(一般社団法人ジャパンドローンリーグ)は、ドローンレースを主催運営するほか、ドローンの健全な普及やテクノロジー教育などを行う団体。ドローンレースに魅了された有志によって設立され、本業のかたわら時間を割いて運営しているそうです。 代表理事の一人、酒井氏は、製作の最初でつまずく人が多いため、ハードルを越えてレースに参加する人口を増やしたいという思いから、こうして登壇していると言います。近年、国内でもドローンレースは活発化してきていますが、JapanDroneLeagueのレースは厳格なレギュレーションにのっとり、競技として真剣にチャレンジしたいレーサーからの支持が高いようです。2018年のレースは、初心者から実力者まで3つのクラスが設定された全6ラウンド。福岡から北海道まで各地で熱戦を繰り広げ、獲得ポイントによって年間チャンピオンが決まります。


JapanDroneLeagueについて、詳しくはこちら

独学でゼロからスタートした場合、およそ1カ月勉強した後に1~2カ月をかけて製作するそうですが、それがフライトも含めて2日間に凝縮されたのがこの講座。もちろん時間をかけて習得する知識と同等とはいきませんが、レーサーとしての基礎の基礎である「自分でドローンのパーツを選択できる知識」「安全面の知識」を押さえたカリキュラムになっています。

配布されたテキストは、雑誌に連載した内容をベースに再構成したもの。体系的かつ順を追った作りで、読みやすく、講座後の復習にも使いやすいテキストです。

講座ではそのままレースに出場できるレベルの機体を組み立てますが、この場限りではなく、今後ステップアップしていくことを前提とした講義内容になっているのが本講座の特徴です。レース用ドローンは、自動車と同じようにさまざまな種類やメーカーのパーツを組み合わせ、自分好みの構成で飛ばすことができます。そのため、今後自分の使いやすいようにカスタマイズをしていくことも念頭に講義が進んで行きました。また、各パーツの役割や特徴を知ることは、ドローンの原理を詳しく知る近道にもなります。

この日の受講者は20~50歳代と幅広い9名。講義の合間に参加した理由を聞いてみると、レースに興味を持った人が半数、あとの半数は仕事で産業用ドローンを扱うために構造やプログラムを詳しく知りたいという動機でした。「壊したときに自分で修理できるようになりたかったが、なんとかできる感触をつかめた」「数年前に自作を途中で断念したが、この講座で不明点をクリアにできた」という声も聞かれ、こうしたニーズにも合致した内容だと言えそうです。

ネット上では触れられない、体系的な知識

午前中は座学が中心で、ドローンの構造や飛ぶ仕組みを学びます。ドローンの細部がわかりやすいよう、モニターに映し出しながら説明が進みます。みなさん詳しくメモを取っていて、真剣に取り組む様子が伝わってきました。

基礎的な話に続いて、レース用に適したフレームの大きさや、各種チップを選ぶポイントなど実践的な知識を得られました。ネットを探しても見つからないような整理・体系化された情報を得られます。

機体の次は、電気の知識です。ドローンは多くの電子部品から構成されているため、どうしても電気の知識の習得は避けて通れません。とはいえ、特段難しい話ではなくドローンで使われる「リポバッテリー」の仕組みや選び方に沿って、最低限押さえておくべき電圧と電流についての講義が行われます。

「リポ」とはリチウムポリマー(LiPo)のことで、エネルギーの密度が高く急激な反応が起きるため、扱いを誤ると発火事故などにつながる危険性が高いバッテリーです。ナイフを突き刺すと勢いよく炎が上がる動画を見ましたが、衝撃的でした。不適切な容量のバッテリーを選択してしまった場合や、実際のフライトや保管時でも発火することは十分考えられるので、よく復習しておきたいところです。

そして、朝から気になっていた大きな紙袋をいよいよ開封します。中身を取り出し、部品が揃っているかを確認して午前中の講座は終了です。

いよいよ製作へ ハンダを使って、気分は学生時代の技術の授業!?

1時間の休憩を挟んで、午後は製作です。規格どおりに作られたパーツをビスで留めたりパチパチとはめ込んでいくようなイメージを勝手に持っていたのですが、実際の部品は厳密に決まった規格があるわけではなく、組み立てに要する時間のほとんどがハンダ付けです。

ハンダごては、中学校を最後に触れていないこともあるでしょうが、心配は不要。 午後は、練習用の基盤を使ってハンダ付けの基礎練習から始まります。

続いて、ハンダは一旦置いておき、フレームの組み立てに移ります。カーボン製のプレートを組み合わせ、ドライバーでネジを締めていく作業。そもそも説明書が添付されていないもの多いそうですが、このフレームのように説明書があっても詳しい解説が書かれてないものも多いそうで、理解するのは大変でした。似て非なるパーツの向きを揃えるのは、さながらパズルのよう。そして同じように見える数種類のネジを、間違えないように締める。パッケージを開けた時の想像より難しく、教えてもらえる環境のありがたさを感じた一幕です。


フレームが完成したら、ハンダ付けの本番です。端子が小さく、さらに端子どうしの間隔が短いため、真面目に集中してやっても失敗してしまいました。しかし、この日は9名の受講者に対し4名の講師がサポートする手厚い体制だったため、困ったらすぐに対応してもらえますし、自分だけ取り残される心配はありません。本講座は毎回、今回のような少人数での開催となるようです。

誤ってくっついたハンダを取り除き、行きつ戻りつしながらも、なんとかドローンの頭脳となるフライトコントローラーのハンダ付けが完了しました。ここまでで、すでに20ヶ所以上のハンダ付けを行いました。

続いて4つのモーターを取り付け、モーターを動かすESCという部品を近くに固定し、そして再びハンダ付けです。どうすれば接続しやすいか、ケーブルの取り回しや工具を工夫しながらつないでいきます。30ヵ所近く接続したでしょうか。

ハンダ付けが終わると、ESCの周りを熱収縮チューブで覆います。構造上、ハンダ付けする前からチューブをフレームに通しておく必要があるのですが、気をつけないとハンダゴテの熱で思わぬ場所で収縮してしまい、またモーター周辺の取り付けをやり直すはめになります。こうした注意点も自分一人では気づかないポイントでしょう。

ドローンの形が見えてきました モーターはちゃんと動くでしょうか!?

これで主要な組み立ては完了。いよいよバッテリーをつないで、モーターが正常に回転するか確かめます。

4つのモーターにはそれぞれESCから伸びる3本の線を接続しています。この接続のしかたで回転の向きが決まるのですが、私の場合はすべて同じに揃えていたため、4つとも同じ方向に回ります。ドローンは時計回りと反時計回りのプロペラが組み合わさって飛ぶようになっているため、このままでは飛びません。テキストには書いてあったのですが、ハンダ付けに夢中で見落としていました。ホッとしたのも束の間、すべてやり直しなのではないかと嫌な汗が出ましたが、回転方向はプログラムで変更できるとのことで胸をなで下ろしました。

なかにはモーターが動作しない方もいましたが、講師の方々が1機ずつしっかりと原因を突き止めて直していきます。配線の誤りのほか、ハンダに熱を加えすぎて基盤を痛めてしまうケースもありました。熱を加えなくても接続不良になってしまうので、加減が難しいところです。

最後にバッテリーを固定するパーツなどを取り付けて、機体は完成。これで1日目の日程は終了です。これが空を舞うんだという期待が半分、もしかして自分だけおかしな動きをするのではないかという不安が半分、なんとも言えない気持ちで翌日を待ちます。

振り返ってみると、組み立てではなく、まさに「製作」という言葉がぴったりの1日でした。マニュアルや講師陣のサポートは充実していましたが、説明書らしいものがない部品をつなぎ合わせ、自分の手先で作りあげたんだという達成感は、日頃あまり得られない感覚。普段ものづくりをしないという受講者も、ハンダを溶かして、今だ!と離す瞬間がとても面白かったと言います。1つのことに熱中する楽しさを思い出させてくれました。

この記事を担当したライター/加藤学宏

ライターの加藤学宏です。文章の仕事と並行して、ドローンによる空撮や映像制作も手がけています。

空撮用の既製ドローンしか扱ったことがありませんでしたが、講座を通して触れたレース用ドローンやマイクロドローンの楽しさにハマっています!

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